治験コーディネーターは治験を実施するために必要な人や設備の調整役をする職種と考えられがちだ。確かに治験の実施にこぎつけるための調整を担う面は大きい。治験の依頼を受けて内容や要望をヒアリングし、実施可能な医療施設を探して、その中で担当できる医師や看護師などを見つけ出す必要がある。さらに被験者の募集をして必要数の確保を行い、スケジュール調整もすることになる。そして、関連する人たちに内容を説明したり、同意書へのサインを求めたりすることも治験コーディネーターの役割だ。このようにして考えると確かに調整役だが、立ち振る舞い方によっては主導役として治験をけん引することもできるのは知っておくと良いだろう。

看護師はもともと医療現場では調整役や補助役を担うことが多い。それが自分に向いているという認識があるなら治験コーディネーターとしても調整役に徹した方が働きやすいだろう。しかし、補助的な立場であることにストレスを感じていた看護師は調整役に回ってしまうとまた仕事がつらくなってしまうリスクがある。看護師がキャリアチェンジをするときには主導役か調整役かを決めて現場での立ち回り方を選ぶのが大切だ。主導役になるには情報を十分に収集して、関係者とのミーティングで率先して提案をしていくのが効果的だ。それが受け入れられると治験を主導している気持ちが生まれ、治験コーディネーターとして働くモチベーションが上がりやすくなる。